コラム 2025年8月22日

就労移行支援の利用料金はいくら?9割が無料で利用できる仕組みを徹底解説

就労移行支援の料金への不安を解消します

「新しいキャリアを目指したい」「社会復帰に向けてスキルを身につけたい」と考え、就労移行支援サービスの利用を検討しているものの、「料金はどれくらいかかるのだろう?」という金銭的な不安を抱えている方は少なくありません。特に、専門的なスキルが学べるIT特化型の事業所となると、さらに費用がかさむのではないかと心配になるかもしれません。

就労移行支援は障害者総合支援法に基づく福祉サービスであり、実際には約9割の方が自己負担なく「無料」で利用されています。この記事では、その料金体系の仕組みから、自己負担が発生する場合の計算方法、IT特化型プログラムの料金、そして浜松市での利用について、分かりやすく徹底的に解説します。この記事を読めば、料金に関する不安は解消され、安心して次の一歩を踏み出せるはずです。

就労移行支援の料金体系の基本

国と自治体が9割を負担する仕組み

就労移行支援のサービス利用にかかる費用は、その大部分を国と自治体が公費で負担しています。利用者が負担するのは、原則として全体の1割です。これは厚生労働省によって定められた制度であり、どの事業所を利用しても基本的な仕組みは変わりません。

例えば、1日の利用にかかるサービス費用が10,000円だった場合、公費で9,000円が賄われ、利用者の自己負担は1,000円となります。しかし、実際にはこの1割負担さえも発生しないケースがほとんどです。その理由が、次に説明する「負担上限月額」の制度です。

なぜ9割の人が「無料」で利用できるのか?鍵は「負担上限月額」

利用者の9割が無料でサービスを受けられる最大の理由は、前年の世帯収入に応じて「ひと月あたりの自己負担額の上限」が定められているためです。これを「負担上限月額」と呼びます。どれだけサービスを利用しても、この上限額を超えて請求されることはありません。

世帯収入に応じた4つの区分

負担上限月額は、利用者本人とその配偶者の前年の収入(所得)によって、以下の4つの区分に分けられます。親や兄弟の収入は含まれません(※18歳未満の場合は保護者の世帯収入)。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)
※収入が概ね670万円以下の世帯が対象
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

この表からわかるように、市町村民税が非課税の世帯(前年に収入がなかった方など)や生活保護受給世帯の方は、自己負担額が0円となります。これが、利用者の多くが無料でサービスを受けられる理由です。

【具体例】負担上限月額の計算方法

自己負担が発生する場合でも、上限額があるため安心です。具体的な例を見てみましょう。

【設定】1日の自己負担額(1割負担)が1,000円の事業所を、月に15回利用した場合

  • 本来の自己負担額:1,000円 × 15日 = 15,000円

Aさんの場合(区分:一般1 / 負担上限月額:9,300円)
計算上の負担額(15,000円)が上限額(9,300円)を超えているため、実際に支払う金額は9,300円です。

Bさんの場合(区分:一般2 / 負担上限月額:37,200円)
計算上の負担額(15,000円)が上限額(37,200円)に達していないため、実際に支払う金額は15,000円です。

利用料以外に考慮すべき費用はある?

就労移行支援の利用料はほとんどの場合無料または低額ですが、通所に際して他の費用が発生する可能性も考慮しておくと、より安心して計画を立てられます。

交通費:自治体や事業所の支援制度を確認

原則として、事業所に通うための交通費は自己負担となります。しかし、経済的な負担を軽減するため、自治体によっては交通費の助成制度を設けている場合があります。例えば、「月額上限5,000円まで補助」といった制度です。

昼食代や教材費

昼食代は自己負担が基本ですが、事業所によっては異なる場合がありますので、ぜひご見学の際に確認してみてください。これも事業所選びの一つのポイントになるでしょう。

教材費については、ほとんどの事業所で無料となっています。ただし、IT特化型などで専門的な資格取得を目指す場合、資格の受験料や特定の専門書代が自己負担となる可能性があります。事前に確認しておくことが大切です。

IT特化型プログラムでも料金は同じ?

「プログラミングやAI、データサイエンスのような専門スキルを学べるなら、料金も高くなるのでは?」と考える方もいるかもしれません。

結論から言うと、IT特化型の就労移行支援事業所であっても、利用料金の仕組みは基本的に同じです。障害者総合支援法に基づく福祉サービスであるため、プログラムの内容によって自己負担額が変わることはありません。前述の負担上限月額の制度が同様に適用されます。

これは利用者にとって大きなメリットです。公的な支援を受けながら、市場価値の高い専門スキルを身につける機会が得られます。近年では、AIやデータサイエンスに特化した事業所も登場しており、障害のある方の新たなキャリアの可能性を広げています。

浜松市で就労移行支援の利用を検討している方へ

この料金体系は全国共通のため、もちろん静岡県浜松市、磐田市、袋井市、湖西市などにお住まいの方にも同様に適用されます。ご自身の収入状況がどの区分に該当するか、また交通費の助成制度などについて詳しく知りたい場合は、お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)に問い合わせるのが最も確実です。

浜松市では、障害のある方の就労を支援するための相談窓口が各区に設置されています。

  • 中央福祉事業所 社会福祉課(中央区役所内): 053-457-2057
  • 浜名福祉事業所 社会福祉課(浜名区役所内): 053-585-1697
  • 天竜福祉事業所 社会福祉課(天竜区役所内): 053-922-0024

出典: 浜松市 障害福祉サービス等事業所一覧

私たちのようなITスキルに特化した事業所では、料金に関するご相談はもちろん、どのようなスキルが身につき、どのようなキャリアが目指せるのか、具体的なプログラム内容についても詳しくご説明します。見学や個別相談は無料ですので、ぜひ一度、事業所の雰囲気やプログラムを体験しに来てください。

まずは気軽に相談から

就労移行支援の利用料金は、公的な補助と負担上限月額の制度により、ほとんどの方が無料で利用できる、非常にアクセスしやすいサービスです。特に、IT特化型のプログラムは、少ない自己負担で将来の可能性を大きく広げるチャンスと言えるでしょう。

金銭的な不安が解消されたら、次は「自分に合った事業所を見つける」ことが重要です。事業所の雰囲気、スタッフとの相性、プログラムの内容などをしっかり見極めるためにも、まずは気になる事業所に連絡を取り、見学や相談をしてみることを強くお勧めします。あなたの新しい一歩を、私たちは全力で応援します。

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