コラム 2025年8月11日

【浜松市で就職を目指す方へ】相談支援事業所とは?役割や利用の流れをわかりやすく解説|IT就労への第一歩

就労への不安、「どこに相談すれば?」から始めよう

「働きたい」という気持ちが芽生えたとき、多くの方が最初に直面するのは、「一体、何から始めればいいのか?」「誰に、どこに相談すればいいのか?」という大きな壁ではないでしょうか。

「自分に合った支援やサービスが知りたいけれど、どうやって探せばいいかわからない」「手続きが複雑そうで、一人で進めるのは不安だ」――。このような悩みや不安は、障害のあるご本人だけでなく、支えるご家族にとっても共通のものです。

今回の記事では、そうした不安を解消し、就労への確かな一歩を踏み出すための「最初の羅針盤」となる存在、「相談支援事業所」に焦点を当てて詳しく解説します。この記事を読み終える頃には、相談支援事業所の役割を正しく理解し、安心して相談への扉を叩けるようになっているはずです。特に、浜松市でIT分野という専門職を目指す方が、この制度をいかに戦略的に活用できるか、具体的なヒントをお届けします。

相談支援事業所とは?~あなたの「働きたい」を支える最初の羅針盤~

就労への道を歩み始めるにあたり、「相談支援事業所」は最も重要なパートナーの一つです。しかし、その名前から具体的な役割をイメージするのは難しいかもしれません。ここでは、特に就労を目指す方の視点から、その本質を解き明かしていきます。

一言でいうとどんな場所?

相談支援事業所とは、一言で言えば「障害のある方やそのご家族のための、公的な総合相談窓口」です。日常生活の困りごとから、人間関係の悩み、そして「働きたい」という希望まで、あらゆる相談に対応してくれます。そして、ただ話を聞くだけでなく、一人ひとりの状況や目標に合わせて、どのような公的福祉サービス(例えば、就労移行支援)が利用できるかを一緒に考え、情報提供し、利用計画の作成までを無料でサポートしてくれる専門機関です。

就労移行支援事業所との決定的な違い

ここで「就労移行支援事業所」との違いを明確にしておきましょう。この二つは密接に関連しており、セットで利用することがほとんどです。

  • 相談支援事業所:いわば「ケアマネージャー」のような存在。あなたに合ったサービスは何かを一緒に考え、全体の支援プラン(利用計画)を立てる「計画(プランニング)」の場所です。
  • 就労移行支援事業所:立てられた計画に基づき、就職に必要な専門スキルを学び、就職活動を行う「訓練(トレーニング)」の場所です。

つまり、「まず相談支援事業所で計画を立て、その計画書を持って就労移行支援事業所を利用する」という流れが基本となります。

事業所の主な種類と役割

相談支援事業所にはいくつかの種類がありますが、就労を目指す上で特に重要なのは「特定相談支援事業所」です。

特定相談支援事業所【最重要】
就労移行支援のような「障害福祉サービス」を利用するために不可欠な「サービス等利用計画」を作成する中心的な役割を担います。障害のある方が一般就労を目指す際に、最初にお世話になるのが、この特定相談支援事業所です。
一般相談支援事業所
主に、長期間入院していた方や施設で生活していた方が、地域での一人暮らしを始める(地域移行)、または地域での生活を続ける(地域定着)ためのサポートが中心です。
障害児相談支援事業所
18歳未満のお子さんの発達や生活に関する相談支援を行います。

【最重要】就労移行支援を利用するための5ステップ~相談から利用開始までの完全ガイド~

「相談支援が重要であることはわかったけれど、具体的にどう動けばいいの?」という疑問にお答えします。ここでは、相談支援事業所を訪れてから、実際に就労移行支援の利用を開始するまでの流れを、5つのステップで具体的に解説します。この通りに進めれば、迷うことなく手続きを進めることができます。

Step 1:相談支援事業所を探す

最初のステップは、あなたのパートナーとなる相談支援事業所を見つけることです。浜松市では、主に以下の方法で探すことができます。

  • 市の窓口で相談する:お住まいの区役所の障害福祉課や、「浜松市障がい者基幹相談支援センター」が最初の公的な相談窓口となります。ここで状況を話せば、地域の相談支援事業所を紹介してもらえます。
  • Webサイトで検索する:厚生労働省が管轄する福祉・保健・医療の情報サイト「WAM NET」などで、お住まいのエリアや対応可能な障害種別で事業所を検索することができます。

Step 2:初回の相談(アセスメント)

事業所を見つけたら、電話で予約を取り、初回の相談に臨みます。この面談を「アセスメント」と呼びます。難しく考える必要はありません。「現在の生活で困っていること」「将来どうなりたいか(例:IT系の仕事に就きたい)」「得意なこと、苦手なこと」などを、ありのままに話すことが大切です。このヒアリングが、あなただけの支援計画を作るための最も重要な土台となります。

特にIT就労を目指す方は、この段階で「プログラミングに興味がある」「Webデザインを学んでみたい」といった具体的な希望を伝えることが、後の事業所選びや計画作成において非常に重要になります。

Step 3:「サービス等利用計画案」の作成

Step 2のアセスメント内容に基づき、相談支援専門員があなたに合ったサービスの組み合わせを考え、「サービス等利用計画案」を作成します。例えば、「Aさんの『ITスキルを身につけて就職したい』という目標を達成するために、週5日、リライトキャンパスに通い、専門スキルとコミュニケーション能力を向上させる」といった具体的な計画が立てられます。

Step 4:自治体への申請と「受給者証」の交付

作成された「サービス等利用計画案」を、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(浜松市の場合は各区役所)に提出します。市は提出された計画案の内容を確認し、サービスの利用が適切であると判断すれば、福祉サービスの利用を正式に許可する「障害福祉サービス受給者証」を交付します。この受給者証が、いわばサービスの利用許可証となります。

Step 5:就労移行支援事業所との契約・利用開始

交付された受給者証を持って、利用したいと決めた就労移行支援事業所(例えば、私たち「リライトキャンパス」)へ行きます。そこで正式に利用契約を結び、いよいよ就職に向けた訓練がスタートします。

IT分野での就職を叶える!相談支援事業所の戦略的活用術

ただ手続きを進めるだけでなく、「IT分野で就職する」という明確な目標があるなら、相談支援事業所をより戦略的に活用することが成功への近道です。ここでは、目標達成の確率を格段に上げるための具体的な活用術をご紹介します。

相談支援専門員に「ITへの熱意」を具体的に伝える

相談支援専門員は福祉のプロですが、必ずしもIT業界の最新動向に精通しているわけではありません。だからこそ、あなたが「なぜITなのか」「何をしたいのか」を具体的に伝えることが、最適なマッチングの鍵となります。相談に行く前に、以下の点を整理しておきましょう。

ITへの希望を伝えるチェックリスト

  • 興味のきっかけ:なぜIT分野に興味を持ちましたか?(例:ゲームが好き、Webサイトを作ることに興味がある)
  • 目指す職種(もしあれば):どんな仕事に興味がありますか?(例:プログラマー、Webデザイナー、データ入力)
  • 学びたいスキル:どんな技術を身につけたいですか?(例:プログラミング言語のPython、デザインソフトのPhotoshop)
  • 自分の強み:どんな特性がITの仕事に活かせそうですか?(例:細かい作業に集中できる、論理的に考えるのが得意)

これらの情報を具体的に伝えることで、相談支援専門員も「この人には、ITに特化した訓練ができる事業所が必要だ」と明確に理解し、適切な事業所を探しやすくなります。

専門員と一緒に「IT特化型事業所」を見極めるポイント

「ITに強い」と謳う事業所は増えていますが、その質は様々です。相談支援専門員と一緒に事業所を見学・比較する際には、以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。

  1. カリキュラムの専門性:WordやExcelの基本操作だけでなく、本当に今のIT市場で価値のある専門スキルが学べるかを確認します。例えば、私たち「リライトキャンパス」では、親会社であるIT企業LiNewが開発した、未経験から即戦力レベルのエンジニアを目指す実践的カリキュラム「educure」を導入しています。
  2. IT業界への就職実績と定着率:卒業生がどのようなIT企業に就職し、その後どのくらい長く働き続けているか(定着率)は、支援の質を測る最も重要な指標です。リライトキャンパス全体では、卒業生の約40%がIT企業に就職し、高い定着率を誇っています。
  3. 支援員の専門性:IT業界での実務経験がある支援員や、専門知識を持つスタッフが在籍しているかどうかも重要です。専門的な質問に答えられたり、業界のリアルな情報を教えてくれたりする存在は非常に心強いです。

ケーススタディで具体的にイメージさせる(架空の事例)

ケーススタディ:Aさん(20代・発達障害・浜松市在住)の挑戦

背景:Aさんは、人とのコミュニケーションに少し苦手意識があるものの、一度興味を持つと驚異的な集中力を発揮し、PCを使った緻密な作業が得意という特性を持っていました。「この特性を活かして、専門職として自立したい」と考え、ITエンジニアの道を志しました。

  1. 相談:まず浜松市の基幹相談支援センターに連絡。紹介された特定相談支援事業所の専門員に「ITエンジニアになりたい」という熱意と、自分の得意・不得意を具体的に伝えました。
  2. 事業所選定:専門員はAさんの希望を受け、浜松市内でIT特化のカリキュラムを持つ事業所を複数リストアップ。Aさんは専門員と一緒に「リライトキャンパス」を見学し、実践的なプログラミング教育と、障害特性への深い理解に基づいた支援体制に魅力を感じ、ここを利用することを決めました。
  3. 計画と利用開始:専門員は「Aさんの目標達成のため、リライトキャンパスでプログラミングスキルと、職場でのコミュニケーションスキルを習得する」という内容のサービス等利用計画案を作成。市の認定を受け、無事に利用を開始しました。
  4. 就職と現在:約1年半の訓練を経て、Aさんはプログラミングスキルだけでなく、自分の特性に合った働き方(タスク管理の方法、報告・連絡・相談のタイミングなど)を習得。事業所の強力なサポートのもと、浜松市内のソフトウェア開発企業にプログラマーとして就職。現在も就労定着支援を受けながら、得意な分野で能力を発揮し、活躍しています。

浜松市における障害者就労の「今」と「未来」

就職活動は、個人の努力だけでなく、地域社会の状況にも大きく影響されます。ここでは、浜松市という地域に特化した情報を提供し、なぜ今、IT分野での就労が有望なのかを解説します。

浜松市の現状と課題

現在、国全体で障害者雇用は大きな転換期を迎えています。障害者雇用促進法の改正により、民間企業の法定雇用率は段階的に引き上げられており、令和8(2026)年7月には2.7%になります。これにより、浜松市内の企業においても、障害のある方を雇用したいというニーズは確実に高まっています。

一方で、浜松市の産業界が抱える大きな課題がIT人材の不足です。多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しようとする中で、それを担う専門人材の確保が追いついていないのが現状です。

地域課題へのソリューションとしての「IT×福祉」

この「企業の障害者雇用ニーズの高まり」と「IT人材不足」という二つの課題は、一見無関係に見えますが、実は大きなチャンスを生み出します。それが「IT×福祉」という新しいアプローチです。

発達障害のある方の中には、その特性から、高い集中力、論理的思考能力、パターン認識能力など、プログラミングやデータ分析といったIT業務に非常に高い適性を持つ方が少なくありません。

IT特化型の就労移行支援は、障害のある方にとっては専門職としての新たなキャリアパスを切り拓く機会となり、同時に、浜松市内の企業にとっては喉から手が出るほど欲しいIT人材を確保する手段となり得ます。これは、個人と地域社会の双方にとって価値のある、まさに「一石二鳥」のソリューションなのです。

浜松市の支援体制

さらに、浜松市では障害者雇用を積極的に後押しする体制も整えられています。例えば、障害者雇用を希望する企業に対して、受け入れ計画の策定から定着支援までを継続的にサポートする「企業伴走型障害者雇用サポート事業」などを実施しています。このように、企業側の受け入れ態勢を整える取り組みが進んでいることも、これから就職を目指す方にとっては心強い追い風となるでしょう。

よくある質問(Q&A)~初めての相談、その不安を解消します~

最後に、相談支援事業所を初めて利用する方が抱きがちな疑問や不安に、Q&A形式でお答えします。相談への心理的なハードルが少しでも下がれば幸いです。

相談や計画作成に費用はかかりますか?

いいえ、かかりません。相談支援事業所の利用(相談、計画作成、関係機関との連絡調整など)は、基本的に無料です。障害福祉サービス受給者証の交付を受けていれば、自己負担なく計画を作成してもらえます。

障害者手帳を持っていませんが、相談できますか?

はい、相談は可能です。また、就労移行支援などのサービス利用についても、必ずしも手帳が必要なわけではありません。医師の診断書や意見書があれば、お住まいの自治体(浜松市)の判断で利用が認められる場合があります。まずは「手帳がないのですが…」と、そのまま相談支援事業所にご相談ください。

相談支援専門員の方と合わないと感じたら、変更できますか?

はい、可能です。支援は人と人との関係性の上に成り立つため、相性は非常に重要です。もし「話しにくい」「理解してもらえていない気がする」と感じた場合は、我慢せずにまず事業所の責任者に相談してみましょう。それでも解決が難しい場合は、市役所の障害福祉課に相談し、事業所自体を変更することもできます。

本人が行くのをためらっています。家族だけでも相談に行っていいですか?

はい、もちろん大丈夫です。ご本人が一歩を踏み出すのに時間がかかることは少なくありません。まずはご家族だけで相談し、どのような支援があるのか、どんな流れで進むのかといった情報を集めてから、ご本人に優しく伝えてあげるという形も非常に有効です。多くの事業所がご家族からの相談を歓迎しています。

まとめ:一人で悩まないで。未来への扉は、まず相談から。

この記事では、就労を目指す障害のある方にとっての「最初の頼れるパートナー」、相談支援事業所について詳しく解説してきました。最後に、最も重要なポイントを再確認しましょう。

  • 相談支援事業所は、あなたの目標達成のための「計画」を立てる場所です。一人ひとりの希望や課題に寄り添い、最適な福祉サービスを組み合わせた「サービス等利用計画」を作成してくれます。
  • 就労移行支援を利用するには、この「サービス等利用計画」が不可欠です。つまり、就職への道は、まず相談支援事業所を訪れることから始まります。

「働きたい」という思いを抱えながらも、何から手をつけていいか分からず、一人で悩みや不安を抱え込んでしまうのは、非常にもったいないことです。どんなに小さな悩みや、漠然とした不安でも構いません。専門家に話してみることで、必ず未来への道筋が見えてきます。

まずは、浜松市のお近くの相談窓口に、電話一本してみることから始めてみませんか。

そして、もしあなたの「働きたい」という気持ちが、成長著しい「IT分野」にあるのなら、私たち「リライトキャンパス」がその夢を全力でサポートします。IT企業のノウハウを凝縮した実践的なカリキュラムと、豊富な就職実績、そして障害特性への深い理解を持つスタッフが、あなたのキャリア実現まで伴走します。

見学や個別相談は随時受け付けております。あなたの未来への第一歩を、ぜひここから踏み出してください。

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