コラム 2025年12月23日

【就活の基本】「貴社」と「御社」の使い分け|就労移行支援事業所が徹底解説

はじめに:なぜ「言葉遣い」が就職活動で重要なのか?

就職活動を始めると、履歴書の書き方や面接対策など、準備すべきことがたくさんあります。その中でも、多くの人が不安に感じるのが「言葉遣い」、特に敬語の使い方ではないでしょうか。適切な言葉遣いは、社会人としての基本であり、相手への敬意を示す大切なコミュニケーションツールです。

採用担当者は、応募者の言葉遣いから、ビジネスマナーの習熟度、コミュニケーション能力、そして「この企業で働きたい」という真剣な姿勢を読み取ろうとします。たとえ素晴らしい経験やスキルを持っていても、言葉遣い一つで印象が大きく変わってしまうこともあるのです。言葉遣いは、その人の思考や人柄を映す鏡とも言えます。

この記事では、就職活動で特に混同しやすい「貴社(きしゃ)」「御社(おんしゃ)」の使い分けを中心に、就労移行支援事業所の視点から、自信を持ってビジネスマナーを身につけるための方法を分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの不安が解消され、胸を張って面接に臨めるようになるはずです。

結論から!「貴社」と「御社」の決定的な違い

まず結論からお伝えします。「貴社」と「御社」はどちらも相手の会社を敬って呼ぶ言葉ですが、使う場面が明確に異なります。

「御社(おんしゃ)」は話し言葉

「御社」は、面接や電話、会社説明会など、口頭で話すときに使います。企業の担当者と直接会話するシーンでは「御社」と覚えておきましょう。

例:「御社の経営理念に深く共感いたしました。」(面接にて)

「貴社(きしゃ)」は書き言葉

「貴社」は、履歴書やエントリーシート、メール、送付状など、文章で書くときに使います。文字にする場合は「貴社」が基本です。

例:「貴社の事業内容に魅力を感じ、応募させていただきました。」(履歴書にて)

なぜ使い分ける必要があるの?

この使い分けが生まれた背景には、日本語の「同音異義語」の問題があります。「きしゃ」という音には、「記者」「汽車」「帰社」など、ビジネスシーンで使われる可能性のある言葉が多く存在します。会話の中で「きしゃ」と言うと、どの意味か瞬時に判断しにくく、誤解を招く恐れがあるため、話し言葉では「御社」が使われるようになったと言われています。

覚え方としては、「話して音(おん)を出すから御社」と記憶すると混同しにくくなります。

【場面別】具体的な使い方と例文

ここでは、実際の就職活動で「御社」と「貴社」をどのように使うか、具体的な場面と例文を見ていきましょう。

「御社」を使う場面(面接・電話・説明会)

会話の中では、すべて「御社」を使います。会社名を何度も繰り返すよりもスマートな印象を与えられます。

  • 面接での受け答え
    「私が御社を志望する理由は、〇〇という事業を通じて社会に貢献されている点に魅力を感じたためです。」
    御社で働くうえで、どのようなスキルが求められますでしょうか?」
  • 電話での会話
    「お忙しいところ恐れ入ります。私、〇〇大学の〇〇と申します。先日、御社の求人に応募させていただきました。」
    「〇月〇日の面接の件でご連絡いたしました。御社にお伺いする時間は、14時でよろしかったでしょうか。」
  • 会社説明会やOB/OG訪問
    「本日は、御社の説明会に参加させていただき、誠にありがとうございます。」
    御社では、若手社員が活躍できるような研修制度はございますか?」

「貴社」を使う場面(書類・メール)

文章にするときは、すべて「貴社」を使います。特に、スマートフォンやPCで作成する際は、変換ミスに注意しましょう。

  • 履歴書・エントリーシート
    貴社の〇〇という企業文化に惹かれ、私もその一員として貢献したいと強く考えております。」
    (本人希望記入欄など)「貴社の規定に従います。」
  • メール
    件名:面接日程のご調整のお願い(氏名)
    「〇〇株式会社 人事部 〇〇様
    お世話になっております。〇〇大学の〇〇です。この度は、面接の機会をいただき、誠にありがとうございます。貴社に伺える日を心待ちにしております。」

志望動機などを考える際、エントリーシート(貴社)を見ながら面接(御社)の練習をすることが多いと思います。その際は、書かれている「貴社」を「御社」に言い換えて話す練習をすることが重要です。このひと手間が、本番での言い間違いを防ぎます。

就労移行支援で学ぶ「使える」ビジネスマナー

「理屈はわかったけれど、いざとなるとうまく使えるか不安…」と感じる方も多いでしょう。就労移行支援事業所は、まさにそうした不安を解消し、「わかる」を「できる」に変えるための場所です。一般のマナー講座とは異なり、一人ひとりの特性やペースに合わせたサポートが受けられます。

知識から実践へ:ロールプレイングで自信をつける

就労移行支援の大きな特徴は、実践的なトレーニングが豊富なことです。言葉遣いは、実践を繰り返すことで自然と身につきます。

  • 模擬面接:支援員が面接官役となり、本番さながらの環境で練習します。入退室のマナーから質疑応答まで、一連の流れを体験。「御社」という言葉を自然に使えるようになるまで、何度も練習できます。
  • 電話応対練習:具体的なシナリオ(例:面接日程の調整、問い合わせ)に沿って電話応対を練習します。とっさの場面でも適切な言葉が選べるようになります。
  • グループワーク:他の利用者と協力して課題に取り組む中で、同僚や上司とのコミュニケーションを想定した言葉遣いを学びます。

ロールプレイングは「失敗して恥をかく場」ではなく、「安全に失敗して学べる場」です。実際の職場で失敗する前に、事業所でたくさん練習できることが、大きな自信につながります。

障害特性に合わせた個別サポート

私たちは、画一的な指導ではなく、あなたの障害特性やペースに合わせた個別サポートを提供します。これは、就職後の定着まで見据えた就労移行支援ならではの強みです。

  • 発達障害(ASD)の方へ:「なぜそうするのか」という理由を論理的に説明し、暗黙のルールを明文化・視覚化します。ロールプレイングの前に台本を用意するなど、見通しを持って取り組めるよう配慮します。
  • 発達障害(ADHD)の方へ:短時間で区切った学習や、チェックリストの活用で、集中して取り組めるように工夫します。メモや録音を許可し、後から振り返れるようにします。
  • 精神障害(うつ病など)の方へ:体調の波に合わせて、無理のないペースで学習を進めます。対人練習も、まずは支援員との1対1から始めるなど、段階的にステップアップしていきます。

利用者の約8〜9割がビジネスマナー未経験からスタートしています。「名刺の受け取り方すら知らない」という状態からでも、基礎の基礎から丁寧に学べるので安心してください。

書類作成から面接まで一貫した支援

就労移行支援は、マナーを学ぶだけで終わりではありません。学んだ知識を活かして実際に就職を勝ち取るまで、一貫してサポートします。

  • 応募書類の添削:支援員と一緒に自己PRや志望動機を考え、履歴書や職務経歴書を作成します。その中で「貴社」の使い方はもちろん、よりアピールできる表現をアドバイスします。
  • 企業実習:実際の企業で働く体験を通じて、学んだビジネスマナーを実践します。職場でのリアルなコミュニケーションを経験することは、何よりの学びになります。
  • 就職後の定着支援:就職はゴールではなくスタートです。就職後も、職場での人間関係やマナーに関する悩みなどを相談でき、安心して働き続けられるようサポートします。

もし間違えてしまったら?冷静な対処法

どれだけ練習しても、本番の緊張で間違えてしまうことは誰にでもあります。大切なのは、その後の対処です。慌てず、冷静に対応しましょう。

面接で言い間違えた場合

面接中に「貴社」と言ってしまった場合、すぐに気づいたら「失礼いたしました。御社は〜」と、さらりと言い直せば問題ありません。間違いを引きずらずに、すぐに会話を続けることが大切です。

もし会話が終わってから気づいた場合は、わざわざ遡って訂正する必要はありません。その後の会話で間違えないように意識を切り替えましょう。人事担当者の多くは、一度の間違いで評価を大きく下げることはありません。それよりも、その後の受け答えの内容や熱意を重視しています。

書類で書き間違えた場合

メールや応募書類で「御社」と書いてしまった場合、提出前であれば、面倒でも必ず修正・再作成しましょう。ビジネス文書の正確性は、社会人としての基本スキルと見なされます。

もし送信・提出後に気づいた場合は、基本的には訂正の連絡は不要です。次の機会(面接など)で丁寧な対応を心がけ、マイナスイメージを払拭しましょう。過度に心配する必要はありませんが、提出前の最終確認を徹底する習慣をつけることが重要です。

一歩進んだ知識:一般企業以外の敬称

応募先が株式会社ではない場合、「御社」「貴社」とは異なる敬称を使う必要があります。これもビジネスマナーとして覚えておくと、いざという時に役立ちます。

組織の種類 話し言葉 書き言葉
銀行 御行(おんこう) 貴行(きこう)
信用金庫 御庫(おんこ) 貴庫(きこ)
学校法人、学校 御校(おんこう) 貴校(きこう)
病院、医院 御院(おんいん) 貴院(きいん)
官公庁(省・庁) 御省(おんしょう)・御庁(おんちょう) 貴省(きしょう)・貴庁(きちょう)
協会 御会(おんかい)・御協会(おんきょうかい) 貴会(きかい)・貴協会(ききょうかい)
法人(NPO法人など) 御法人(おんほうじん) 貴法人(きほうじん)

応募先の組織形態を事前に確認し、適切な敬称を使えるように準備しておきましょう。

まとめ:自信を持って就職活動に臨むために

この記事のポイント

  • 「御社」は話し言葉(面接、電話)、「貴社」は書き言葉(書類、メール)で使う。
  • 言い間違いを恐れるより、冷静に対処する姿勢が大切。
  • 就労移行支援では、知識の習得から実践練習、就職後の定着まで、一人ひとりに合わせてサポートする。
  • ビジネスマナーは、相手への敬意を示し、信頼関係を築くための第一歩である。

「貴社」と「御社」の使い分けは、ビジネスマナーの入り口に過ぎません。しかし、この小さな一歩を確実に踏み出すことが、社会人としての信頼を築く上で非常に重要です。

もしあなたが「一人で学ぶのは不安」「実践的な練習がしたい」「自分の特性に合ったサポートを受けたい」と感じているなら、ぜひ一度、お近くの就労移行支援事業所に見学・相談に来てみてください。私たちは、あなたが自信を持って新しいキャリアをスタートできるよう、全力でサポートします。あなたの「働きたい」という思いを、一緒に形にしていきましょう。

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