コラム 2025年11月27日

精神・発達障害があるあなたへ:ADHDの科学的理解から始める「自分らしい働き方」の見つけ方

「集中力が続かず、ケアレスミスが多い」「計画を立てるのが苦手で、仕事の段取りがうまくいかない」「つい衝動的に発言してしまい、人間関係でつまずく」。もしあなたが、このような悩みを抱え、「仕事が続かない」「自分に合う働き方がわからない」と感じているのなら、それはあなたの「努力不足」や「性格」の問題ではないかもしれません。

この記事は、ADHD(注意欠如・多動症)をはじめとする精神・発達障害の特性によって、働くことに困難を感じている当事者の方々、そしてそのご家族に向けて書かれています。最新の科学的知見に基づき、ADHDという特性を正しく理解することから始め、国が提供する公的な福祉サービス「就労移行支援」を最大限に活用し、安定した就労と「自分らしいキャリア」を実現するための具体的な道筋を、データと共にご紹介します。

この記事が提供する価値は、以下の3点です。

  1. ADHDへの科学的理解:ADHDの原因に関する最新の脳科学・遺伝学研究を分かりやすく解説し、漠然とした自己否定から脱却し、客観的な自己理解を深める手助けをします。
  2. 就労移行支援の完全ガイド:就労移行支援のサービス内容、就職率や定着率といったリアルな実態、そして支援を成功させるための秘訣を、公的なデータに基づいて網羅的に解説します。
  3. 最新情報の提供:2025年10月から本格的にスタートする新制度「就労選択支援」についても詳しく触れ、これから支援を受けようと考えている方々へ最新の情報をお届けします。

この記事を読み終える頃には、あなたは自身の特性を新たな視点から捉え、未来に向けた具体的な一歩を踏み出すための知識と勇気を得ているはずです。それでは、一緒に「自分らしい働き方」を見つける旅を始めましょう。

【第1部】なぜ仕事で困難を感じるのか?ADHDの原因を科学的に理解する

仕事での困難が続くとき、私たちはつい「自分の能力が低いからだ」「もっと頑張らなければ」と自分を責めてしまいがちです。しかし、ADHD(注意欠如・多動症)における困難は、個人の「性格」や「努力不足」といった精神論で片付けられるものではありません。近年の目覚ましい研究の進展により、その原因が脳の機能的な特性にあることが科学的に解明されつつあります。この章では、ADHDの原因を科学的に理解し、自身の特性を客観的に捉え直すための土台を築きます。

ADHDの基本特性の再確認:「不注意」「多動性・衝動性」

ADHDは、神経発達症(発達障害)の一つに分類され、その特性は主に以下の3つのタイプに分けられます。

  • 不注意優勢型:集中力が持続しにくい、忘れ物や紛失物が多い、ケアレスミスを繰り返す、物事の段取りを立てるのが苦手、といった特性が目立ちます。
  • 多動性・衝動性優勢型:じっとしていることが難しい、落ち着きがない、貧乏ゆすりなどの目的のない動きが多い、思いついたことをすぐに行動に移す、人の話を遮って話し始める、といった特性が顕著です。
  • 混合表現型:不注意と多動性・衝動性の両方の特性を併せ持ちます。

これらの特性は、脳機能の偏り、つまり脳の情報処理の仕方が多数派とは異なることに起因します。決して本人の怠慢や意欲の欠如が原因ではないということを、まず大前提として理解することが、適切な対策を考える上での第一歩となります。

ADHDの根源を探る:遺伝と脳のメカニズム

では、なぜそのような脳機能の偏りが生じるのでしょうか。現在の科学では、ADHDの原因は単一ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発現する「多因子疾患」であると考えられています。その中でも特に重要なのが「遺伝的要因」と「脳の機能的・構造的な違い」です。

遺伝的要因の重要性

ADHDの発症において、遺伝的要因が強く関与することは、今日までの膨大な研究によって疑いのない事実とされています。例えば、一卵性双生児と二卵性双生児を比較する研究では、ADHDの遺伝率(特性の個人差のうち遺伝要因で説明できる割合)は約74%にも上ると報告されています。これは、親から子へ、あるいは兄弟姉妹間でADHDの特性が見られやすいことの科学的な裏付けです。

ただし、ここで重要なのは、ADHDがいわゆる「遺伝病」とは異なるという点です。特定の単一遺伝子の異常によって発症するのではなく、がんや生活習慣病のように、多数の「感受性遺伝子」が関与する「多因子疾患」と捉えられています。これまでに、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の働きに関連する多くの遺伝子(DRD4, SLC6A3など)とADHDとの関連が研究されてきましたが、個々の遺伝子が持つ影響力は比較的小さく、多くの遺伝子の組み合わせと後述する環境要因が相互に作用しあって発症に至ると考えられています。

近年のゲノムワイド関連解析(GWAS)では、ADHDに関連する27の遺伝子座が特定されるなど、研究はさらに進展しています。これらの研究は、ADHDが生物学的な基盤を持つ医学的な状態であることを明確に示しています。

脳科学が解き明かすADHD

遺伝的要因は、具体的に脳のどのような違いとして現れるのでしょうか。脳画像技術の進歩により、ADHDを持つ人々の脳には、構造的・機能的にいくつかの特徴的な傾向があることが分かってきました。

1. 脳の構造的な違い

MRI(磁気共鳴画像法)を用いた研究では、脳の特定の領域の体積や形状に違いが見られることが報告されています。特に、注意の制御、行動の計画・実行、感情のコントロールなどを司る「前頭前野」の活動が弱い、あるいは体積が小さい傾向が指摘されています。

さらに、福井大学、千葉大学、大阪大学などの共同研究グループは、複数の研究施設で撮影されたMRI画像の機器による誤差を補正する新手法「トラベリングサブジェクト(TS)法」を開発。この手法を用いた解析により、ADHDの子どもでは、定型発達の子どもと比較して、前頭側頭領域、特に右の中側頭回で脳の体積が小さいことが、より高い信頼性をもって明らかにされました福井大学, 2025; 。これらの構造的な違いが、情報処理の特性に影響を与えていると考えられます。

2. 脳の機能的な違い(血流パターン)

脳の活動は血流の変化として捉えることができます。東京大学の研究グループは、ADHDを併存する慢性疼痛患者を対象に、脳の血流を可視化するSPECT(単一光子放出コンピュータ断層撮影)検査を行いました。その結果、治療前の患者では、自己意識や注意、感情の調整に関わる「楔前部(けつぜんぶ)」という脳領域の血流が過剰に高まっていることが判明しました。

興味深いことに、ADHD治療薬(メチルフェニデートやアトモキセチン)を服用すると、この楔前部の過剰な血流が低下し、それに伴って痛みや不安、集中力の問題が改善することが確認されました。これは、ADHDの特性が、特定の脳領域の「過活動」という機能的な問題と関連していることを示唆するものです。薬物療法がなぜ効果を発揮するのか、その一端を脳機能のレベルで説明する重要な知見と言えます。

3. 脳のネットワーク(連結性)の問題

近年の脳科学では、個々の領域の働きだけでなく、それらの領域がどのように連携して情報をやり取りしているか、つまり「脳のネットワーク(連結性)」が重視されています。ADHDは、このネットワークの非効率性や不均衡が問題であるという見方が有力です。

例えば、あるタスクを遂行するためには、注意を司るネットワーク、行動を制御するネットワーク、デフォルトモード・ネットワーク(安静時に活動するネットワーク)などが適切に協調して働く必要があります。ADHDでは、これらのネットワーク間の切り替えや連携がスムーズに行われず、結果として「注意が逸れる」「衝動を抑えられない」といった行動に繋がると考えられています。脳の配線(白質)の発達に違いがあるという研究報告もあり、脳内の情報伝達の効率性がADHDの特性に関わっている可能性が示唆されています。

環境要因との相互作用

ADHDの発症は遺伝要因だけで決まるわけではありません。遺伝的な素因を持つ個人が、特定の環境要因にさらされることで、発症のリスクが高まったり、症状の現れ方が変わったりすることが知られています。これを「遺伝と環境の相互作用」と呼びます。

特に注目されているのが、周産期(妊娠中から出産前後)の環境です。国立精神・神経医療研究センターの研究によると、母親の周産期のストレスが高いと、出生時の子どものへその緒の血液(臍帯血)中の亜鉛濃度が低下し、炎症反応(IL-6)が上昇する傾向が見られました。そして、この出生時の炎症反応の高さが、後のADHD症状の強さと関連している可能性が示唆されました。

この研究は、遺伝的素因に加えて、胎内環境における栄養状態(亜鉛)やストレスが、脳の発達に影響を与え、将来のADHD発症に関与する可能性を示しています。ただし、これはあくまでリスク要因の一つであり、特定の環境が直接ADHDを引き起こすわけではないことを理解しておく必要があります。

客観的指標(バイオマーカー)と個別化医療への展望

これまで見てきたように、ADHD研究は脳画像、遺伝子、血液データなど、客観的な指標(バイオマーカー)を用いてその病態を解明する段階に入っています。これらのバイオマーカーは、将来的にはADHDの診断や治療に革命をもたらす可能性があります。

  • 早期診断と客観的評価:現在は問診や行動観察といった主観的な評価が中心ですが、将来的には脳画像や血液検査によって、より早期に、より客観的にADHDの診断ができるようになるかもしれません。
  • 個別化医療の実現:前述のSPECT研究のように、治療前の脳血流パターンを見ることで、特定の治療薬が効きやすい患者を予測できる可能性があります。これにより、一人ひとりの脳の特性に合わせた「個別化医療」が実現し、治療効果の向上と副作用の軽減が期待されます。
  • 新たな治療アプローチ:ADHDの神経生物学的な理解が進むことで、新しい治療法の開発も加速しています。その代表例が、デジタル治療薬(DTx: Digital Therapeutics)です。米国で承認され、日本でも臨床試験が進む小児ADHD向けのゲームアプリ「EndeavorRx(日本ではEndeavorRide)」は、脳の特定の神経回路に働きかけて注意機能の改善を目指すもので、治療の選択肢を大きく広げるものとして注目されています。
【第1部】要点
  • ADHDは「努力不足」ではなく、遺伝的要因と脳の機能的・構造的特性に起因する神経発達症である。
  • 遺伝率は約74%と高いが、多数の遺伝子が関与する多因子疾患であり、特定の遺伝子だけで決まるわけではない。
  • 脳科学の研究により、前頭前野右中側頭回の体積の違い、楔前部の血流過多など、具体的な脳の特性が明らかになりつつある。
  • 周産期の環境要因(栄養、ストレスなど)も発症に影響を与える可能性があり、遺伝と環境の相互作用が重要である。
  • 脳画像や血液などのバイオマーカー研究は、将来の早期診断や一人ひとりに合った個別化医療に繋がる可能性を秘めている。

【第2部】「働く」への一歩を支援する、就労移行支援の徹底活用ガイド

ADHDの特性を科学的に理解した上で、次なるステップは「では、どうすれば自分らしく働けるのか?」という問いに具体的に向き合うことです。幸いなことに、日本には障害のある方の就職を強力にサポートする公的な仕組みがあります。それが「就労移行支援」です。この章では、就労移行支援がどのようなサービスで、どのように活用すれば安定した就労に繋がるのかを、徹底的に解説します。

就労移行支援とは?「就職準備スクール」でできること

就労移行支援をひとことで言うならば、「障害のある方が一般企業へ就職するための、国が認めた就職準備スクール」です。単に仕事を紹介するだけでなく、働くために必要なスキルや知識を身につけ、就職活動を行い、そして就職後も職場で安定して働き続けられるように、包括的なサポートを提供する福祉サービスです。

目的と対象者

目的は、利用者が自分の障害特性や能力に合った仕事を見つけ、一般企業で安定して長く働き続けることです。そのために、職業訓練から就職活動支援、職場定着支援までを一貫して行います。

対象者は、以下の条件を満たす方です。

  • 年齢:原則として18歳以上65歳未満の方。
  • 障害・疾患:身体障害、知的障害、精神障害(うつ病、統合失調症など)、発達障害(ADHD, ASDなど)、あるいは指定難病のある方。
  • 希望:一般企業への就職を希望しており、就労が可能と見込まれる方。

ここで非常に重要なポイントは、必ずしも障害者手帳を持っている必要はないということです。医師による「診断書」や「意見書」があれば、自治体の判断によってサービスを利用できるケースが多くあります。「手帳がないから自分は対象外だ」と諦める前に、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口や、気になる事業所に相談してみることが大切です。

利用期間と料金

利用期間は、法律で定められた標準期間として原則2年間です。この期間内で、自分のペースに合わせて就職準備を進めます。多くの人が1年~1年半程度で就職していくと言われています。

利用料金は、前年度の世帯所得に応じて自己負担額の上限が定められています。しかし、実際には利用者の約9割が自己負担なし(無料)で利用しています。所得によって負担が発生する場合でも、月額の上限(例:9,300円や37,200円)が設けられているため、高額な費用を請求されることはありません。

職業訓練との違い

「就職のための訓練」と聞くと、ハローワークが実施する「職業訓練(ハロートレーニング)」を思い浮かべる方もいるでしょう。両者は就職を目指す点では共通していますが、目的とサポート内容に大きな違いがあります。就労移行支援は、特に障害特性への配慮を必要とする方に適したサービスです。

就労移行支援 職業訓練
目的 働くための土台作りから就職、定着までを包括的に支援 特定の専門スキルや知識の習得
対象者 障害や難病のある方(休職中の方も含む) 主に求職者全般(障害者向けのコースもあり)
訓練内容 生活リズム安定、自己理解、コミュニケーション訓練、ビジネスマナー、PCスキル、就活支援、定着支援など多岐にわたる プログラミング、WEBデザイン、介護、簿記など専門分野に特化
通所ペース 週1日など、体調に合わせて柔軟に調整可能な事業所が多い 原則として週5日の通所が求められることが多い
障害への配慮 専門スタッフが常駐し、個別の特性に合わせたきめ細やかな配慮がある 障害者向けコース以外では、特別な配慮は限定的
根拠法 障害者総合支援法 職業能力開発促進法

もしあなたが、「まず生活リズムを整えたい」「自分の障害特性と向き合い、対処法を学びたい」「コミュニケーションに不安がある」といった悩みを抱えているなら、専門的なスキル習得だけでなく、働くための土台作りからサポートしてくれる就労移行支援が非常に有効な選択肢となります。

具体的な訓練プログラムの4ステップ

就労移行支援事業所では、利用者がスムーズに就職し、安定して働き続けられるよう、体系的なプログラムが組まれています。その流れは、大きく分けて以下の4つのステップで進められます。

STEP1:自己理解と個別支援計画の作成

利用を開始すると、まず支援員との個別面談からスタートします。ここでは、これまでの職歴や生活歴、得意なこと・苦手なこと、病状や体調の波、将来の希望などをじっくりと話し合います。このプロセスは、自分自身を客観的に見つめ直す絶好の機会です。

ADHDの特性を持つ方の場合、「どのような状況でミスが増えるか」「どんな指示の受け方なら理解しやすいか」「集中を維持するための工夫は何か」といった、具体的なレベルで自分の「取扱説明書」を作成していくイメージです。支援員は、福祉や医療の専門知識を持つプロフェッショナルであり、あなた一人では気づかなかった強みや、困難への対処法を一緒に見つけ出してくれます。

この面談で得られた情報を基に、一人ひとりに合わせた「個別支援計画」が作成されます。「3ヶ月後までに週5日通所できるようになる」「半年後までにExcelの基本関数をマスターする」「1年後の就職を目指す」といった、具体的で達成可能な目標を段階的に設定し、就職までのロードマップを明確にします。

STEP2:働くための基礎力養成

安定して働くためには、専門スキル以前に、社会人としての基礎体力が不可欠です。このステップでは、その土台を築くための訓練が行われます。

  • 生活リズム・体調管理:決まった時間に起床し、事業所に通うという習慣そのものが、最も基本的な訓練です。日々の体調や気分の変動を記録し、自分のコンディションを客観的に把握する練習をします。これにより、無理のない働き方を自分で管理する力(セルフマネジメント能力)を養います。
  • ビジネスマナー:挨拶、正しい言葉遣い、電話応対、名刺交換、報告・連絡・相談(報連相)など、職場で円滑な人間関係を築くための基本を学びます。座学だけでなく、ロールプレイング形式で実践的に練習する機会も多く設けられています。
  • コミュニケーション訓練:多くの人が離職理由に挙げる「人間関係の悩み」に対応するため、コミュニケーションスキルは重点的に訓練されます。特に、SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)は効果的な手法です。「上司に相談がある時の切り出し方」「同僚からの誘いを丁寧に断る方法」など、職場で起こりがちな具体的な場面を設定し、ロールプレイを通じて適切な対応を学びます。自分の意見を伝えるアサーション・トレーニングや、他者の意見を聴く傾聴の訓練も行われます。

STEP3:実践的な職業スキルの習得

基礎力が身についてきたら、次は就職市場で求められる具体的な職業スキルの習得に進みます。プログラム内容は事業所によって特色がありますが、多くの事業所で共通して提供されているのは、事務職で必須となるPCスキルです。

  • PCスキル:Wordでのビジネス文書作成、Excelでのデータ入力・集計・グラフ作成、PowerPointでのプレゼンテーション資料作成など、基本から応用まで段階的に学びます。eラーニング教材を導入している事業所も多く、自分のペースで繰り返し学習できます。
  • 専門スキル:事業所によっては、より専門的なスキルを学べるコースを用意している場合があります。例えば、Webデザイン、プログラミング、CAD、簿記など、特定の職種を目指すための訓練を提供している特化型の事業所も増えています。

STEP4:徹底した就職活動サポート

訓練で自信がついてきたら、いよいよ就職活動のフェーズです。就労移行支援の最大の強みは、この就職活動を一人ではなく、支援員と二人三脚で進められる点にあります。

  • 求人紹介:ハローワークや提携企業などから、障害への理解がある企業の求人情報を紹介してもらえます。自分の特性や希望に合った企業を、支援員と一緒に探すことができます。
  • 応募書類の作成サポート:履歴書や職務経歴書の書き方を、一から丁寧に指導してもらえます。特に、自分の障害特性や必要な配慮をどのように伝えれば、ポジティブな印象を与えられるか、具体的な表現方法についてプロの視点から添削を受けられるのは大きなメリットです。
  • 模擬面接:実際の面接を想定した模擬面接を、何度も繰り返し行います。入退室のマナーから、想定される質問への回答練習、話し方や表情まで、客観的なフィードバックをもらいながら自信をつけていきます。
  • 企業インターン(職場実習):応募を検討している企業で、数日間~数週間、実際に働く体験ができる制度です。仕事内容や職場の雰囲気が自分に合うかを事前に確認できるため、就職後のミスマッチを大幅に減らすことができます。
  • 面接同行:希望すれば、企業の面接に支援員が同行してくれます。緊張する場面で心強いだけでなく、自分では伝えきれない長所や必要な配慮について、支援員が補足説明をしてくれることもあります。

就職後の不安を解消する「定着支援」という心強い味方

「内定はゴールではなく、スタートである」。この言葉は、障害者雇用において特に重要です。新しい環境での仕事は、誰にとってもストレスがかかるもの。就労移行支援の真価は、就職後のサポート、すなわち「定着支援」にこそあると言っても過言ではありません。

就労移行支援事業所は、利用者が就職した後も、原則として6ヶ月間、職場に定着できるようサポートを継続します。主なサポート内容は以下の通りです。

  • 定期的な面談:月に1回程度、支援員が職場を訪問したり、オンラインで面談を行ったりします。仕事の進捗状況、人間関係の悩み、生活面の不安など、どんな些細なことでも相談できます。
  • 企業との調整役:本人からは直接上司に言いにくいこと(例:「業務量が多すぎて負担が大きい」「指示の出し方をもう少し具体的にしてほしい」など)を、支援員が間に入って企業側に伝え、環境調整を働きかけます。あなたと企業の「橋渡し役」となってくれるのです。
  • 関係機関との連携:必要に応じて、主治医や家族、地域の支援機関と連携し、多角的なサポート体制を築きます。

早期離職の主な原因は、「人間関係の悩み」「業務内容のミスマッチ」「体調管理の失敗」です。定着支援は、これらの問題が深刻化する前に介入し、解決をサポートする重要な役割を担います。困った時にいつでも相談できる専門家がいるという安心感は、長く働き続ける上で何よりの支えとなります。

なお、6ヶ月の支援期間が終了した後もサポートが必要な場合は、「就労定着支援」という別の福祉サービスに切り替えることで、最長3年間、継続してサポートを受けることが可能です。

【第2部】要点
  • 就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職と定着を目指すための「就職準備スクール」であり、約9割が無料で利用している。
  • 障害者手帳がなくても、医師の診断書などで利用できる場合がある。
  • 生活リズムの安定やコミュニケーション訓練といった基礎力養成から、PCスキルなどの職業訓練徹底した就職活動サポートまで、包括的な支援が受けられる。
  • 最大の強みは、就職後も続く「定着支援」。支援員が本人と企業の「橋渡し役」となり、安定して働き続けるための課題解決をサポートする。

【第3部】データで見る就労のリアルと成功の秘訣

就労移行支援の仕組みを理解したところで、次に気になるのは「本当に就職できるのか?」「どんな仕事に就けるのか?」「給料はどのくらいもらえるのか?」といった現実的な疑問でしょう。この章では、公的なデータを基に、就労移行支援を取り巻く「リアル」を解き明かし、就職を成功させるための秘訣を探ります。

就職率と定着率の真実:「就職できない」はウソ?

「就労移行支援を使っても、結局就職できないのでは?」という不安は、多くの方が抱くものです。しかし、データはその不安を払拭する客観的な事実を示しています。

厚生労働省の最新調査によると、2022年度に就労移行支援の利用を終えた人のうち、一般企業へ就職した人の割合(一般就労移行率)は57.2%でした。また、別の調査では、就職後6ヶ月時点での職場定着率は89.5%という非常に高い数値を誇ります。

つまり、「利用者の半数以上が希望の就職を果たし、そのうち約9割は半年後も働き続けている」のです。これは、適切なサポートを受けながら計画的に就職活動を進めれば、安定就労は決して非現実的な目標ではないことを力強く示しています。

さらに、就労移行支援は、他の就労系福祉サービスと比較しても、一般就労への移行率が突出して高いことが分かります。就労継続支援A型(雇用契約あり)やB型(雇用契約なし)が「働く場を提供する」ことを主目的とするのに対し、就労移行支援は「一般企業への就職」に特化しているためです。

どんな仕事に就き、いくら稼げるのか?

人気の職種ランキング

就労移行支援を経て就職する方の職種は多岐にわたりますが、最も多いのは事務職です。これは、PCスキルやビジネスマナーなど、多くの事業所で提供される基本的な訓練内容と親和性が高いためです。以下は、障害者雇用全体で人気の高い職種の例です。

順位 職種 具体的な仕事内容の例 向いている人の特徴
1位 事務職 データ入力、書類作成・ファイリング、電話・メール応対、経理補助 コツコツとした定型的な作業が得意な方、PCスキルを活かしたい方
2位 サービス・販売職 小売店の品出し・バックヤード業務、ホテルの清掃、飲食店の調理補助 人と接することが好き、または体を動かす仕事がしたい方
3位 IT・専門職 Webサイトの更新、プログラミング、データ分析、CADオペレーター 特定のスキルや専門知識を活かしたい方、論理的思考が得意な方
4位 製造・技術職 工場での部品組み立て、検品、品質管理、軽作業 集中力がある方、マニュアルに沿った作業が得意な方
5位 その他 医療事務、介護補助、図書館の司書補助、農作業 社会貢献性の高い仕事に興味がある方

近年、特筆すべき傾向として、在宅ワーク(テレワーク)の求人が急速に増加しています。通勤による心身の負担が少なく、自分のペースで仕事を進めやすい在宅ワークは、対人関係のストレスを感じやすい方や、静かな環境で集中したいADHDの特性を持つ方にとって、非常に魅力的な選択肢です。データ入力、Webライター、プログラマーといった職種で、在宅勤務の機会が広がっています。

給与の実態

給与は、多くの方が最も気にするポイントの一つでしょう。厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、障害種別ごとの平均月収(所定内給与額)は以下のようになっています。

このデータを見ると、精神障害や発達障害の方の平均給与は、身体障害の方と比較すると低い傾向にあります。しかし、これは能力の差というよりも、週の所定労働時間が短い働き方を選択する人が多いことが一因と考えられます。同調査では、週の労働時間別の平均給与も示されており、労働時間が長くなるほど給与も高くなる傾向が明確です。例えば、発達障害の場合、週20~30時間未満では平均107,000円ですが、週30時間以上では平均155,000円となっています。

重要なのは、就労移行支援を通じて、まずは自分の体調や特性に合った無理のない働き方からスタートし、徐々に経験を積んでキャリアアップを目指すという長期的な視点です。最初は契約社員や短時間勤務から始めても、実績が認められて正社員に登用されたり、勤務時間を延ばしたりするケースは少なくありません。目先の金額だけでなく、長く安定して働き続けられる環境かどうかを見極めることが大切です。

企業はどこを見ている?採用される人の2つの共通点

高い就職率を誇る就労移行支援ですが、誰もが自動的に就職できるわけではありません。企業側の視点を理解し、採用担当者に「この人と一緒に働きたい」と思わせるポイントを押さえることが成功のカギです。企業が障害者雇用において重視するのは、突き詰めると以下の2つのバランスです。

1. 必要な配慮を具体的に伝えられる(自己理解)

企業が最も知りたいのは、「あなたの障害特性は何か」ということ以上に、「どのような配慮があれば、あなたは能力を最大限に発揮できるのか」ということです。これは、就労移行支援のSTEP1で深める「自己理解」が直接活かされる部分です。

漠然と「集中力がありません」と伝えるのではなく、「一度に複数の指示を受けると混乱しやすいため、指示は一つずつ、できればメモでいただけると助かります」「長時間の会議は集中が途切れやすいので、1時間に5分程度の短い休憩をいただけるとありがたいです」といったように、自分の特性を客観的に分析し、具体的な対策(合理的配慮)を自分の言葉で説明できることが極めて重要です。これは、あなたが自分の障害と主体的に向き合い、セルフマネジメント能力があることの証明にもなり、企業に安心感を与えます。

2. 企業に貢献できる「戦力」である(スキルと意欲)

障害者雇用は、慈善事業ではありません。企業は、あなたを「配慮の対象」としてだけでなく、共に事業を成長させていく「戦力」として期待しています。したがって、就労移行支援で身につけたスキルや、その企業で働きたいという意欲をしっかりとアピールすることが不可欠です。

  • スキル:「ExcelのVLOOKUP関数やピボットテーブルを使って、データ集計業務を効率化できます」「SST訓練を通じて、報告・連絡・相談の重要性を学び、実践できるようになりました」など、訓練で得たスキルが、入社後どのように役立つかを具体的に示しましょう。
  • 意欲:企業の事業内容や理念を事前に研究し、「なぜこの会社で働きたいのか」「自分のどのような強みを活かして貢献したいのか」を熱意をもって伝えることが大切です。

この「自己理解に基づく配慮の要請」と「企業への貢献意欲」の2つをバランス良く伝えられる人が、採用を勝ち取っています。

オープン就労 vs クローズ就労

就職活動には、自分の障害を開示して応募する「オープン就労」と、開示しない「クローズ就労」があります。就労移行支援からの就職は、多くの場合、合理的配慮を得やすいオープン就労を目指します。それぞれのメリット・デメリットを理解しておきましょう。

メリット デメリット
オープン就労 ・障害への理解や配慮を得やすい
・定着支援などのサポートを活用しやすい
・通院や体調管理の相談がしやすい
・求人数が一般枠に比べて少ない場合がある
・給与水準が比較的低くなる可能性がある
クローズ就労 ・求人の選択肢が広い
・給与などの待遇面で差がない
・必要な配慮を得られず、無理をしてしまう
・体調が悪化しても相談しにくく、孤立しやすい
・結果的に離職リスクが高まる

ADHDの特性を持つ方が安定して働くためには、職場の理解と適切な配慮が不可欠です。そのため、就労移行支援ではオープン就労を推奨し、障害を開示することを前提とした応募書類の作成や面接対策を行っていきます。

失敗しない事業所の選び方

就労移行支援の成果は、どの事業所を選ぶかに大きく左右されます。全国に3,000以上の事業所があるため、自分に合った場所を見つけることが重要です。以下のポイントを参考に、複数の事業所を比較検討しましょう。

  1. プログラム内容が自分に合っているか:事業所によって、プログラムの特色は様々です。コミュニケーション訓練に力を入れている所、PCスキルや専門スキルの習得に強い所、発達障害に特化している所などがあります。自分が何を学びたいか、どんなサポートを必要としているかを考え、それに合ったプログラムを提供しているかを確認しましょう。
  2. 実績が公開されているか:就職率や定着率、過去の就職先企業などの実績をウェブサイトなどで明確に公開している事業所は、支援の質に自信がある証拠です。具体的な数値データは、事業所選びの客観的な判断材料になります。
  3. 事業所の雰囲気やスタッフとの相性:プログラム内容が良くても、事業所の雰囲気が合わなかったり、スタッフと話しにくかったりすると、通い続けるのが苦痛になります。ほとんどの事業所で見学や体験利用が可能です。実際に足を運び、自分の目で雰囲気を確認し、スタッフと話してみて「ここなら安心して相談できそうだ」と感じられるかどうかが非常に重要です。
  4. 通いやすさ:自宅からの距離や交通の便も、継続して通うためには無視できない要素です。無理なく通える範囲にあるかどうかも確認しましょう。

焦って一つの事業所に決めてしまうのではなく、少なくとも2~3ヶ所の事業所を見学・体験し、それぞれの長所・短所を比較した上で、最も自分に合うと感じた場所を選ぶことが、失敗しないための最大の秘訣です。

【第3部】要点
  • 就労移行支援の就職率は57.2%6ヶ月定着率は89.5%と高く、安定就労は十分に実現可能な目標である。
  • 就職先は事務職が最も多いが、IT専門職や在宅ワークなど選択肢は多様化している。給与は働き方によって変動する。
  • 採用される秘訣は、「必要な配慮を具体的に伝える自己理解」「企業への貢献意欲」の2つのバランスをアピールすること。
  • 事業所選びでは、プログラム内容、実績、雰囲気などを比較検討し、必ず複数の事業所を見学・体験することが成功への鍵となる。

【第4部】2025年10月開始!新制度「就労選択支援」とは?

これまで解説してきた就労移行支援に加え、2025年10月から、障害のある方の就労をサポートする新たな仕組み「就労選択支援」がスタートします。これから就労支援サービスの利用を考えている方にとっては、必ず知っておくべき重要な制度です。この章では、その目的や内容、既存のサービスとの関係性を分かりやすく解説します。

制度導入の背景と目的:就労のミスマッチを防ぐために

就労選択支援が導入される背景には、これまでの就労支援における課題がありました。厚生労働省の指摘によると、本来は一般就労を目指せる能力や意欲があるにもかかわらず、本人の希望とは十分に合致しないまま、工賃が比較的低い就労継続支援B型事業所を長期にわたって利用し続けてしまうケースが少なくありませんでした。

このような、本人と支援サービスの間の「ミスマッチ」を防ぎ、一人ひとりが持つ能力や希望に最も適した支援を受けられるようにすること。それが、就労選択支援の最大の目的です。

この制度を一言で表すなら、「どの働き方・どのサービスが自分に本当に合っているか」を、本格的な訓練を始める前に見極めるためのお試し期間あるいはアセスメント(評価)期間と位置づけられます。

就労移行支援との違いと利用の流れ

就労選択支援は、就労移行支援や就労継続支援に代わるものではなく、それらのサービスを利用する「前段階」で行われる、短期集中のアセスメントサービスです。

サービス名 主な目的 支援期間 支援内容
就労選択支援
(前段階)
最適な就労支援サービスを「見極める・選択する」 標準1ヶ月程度 アセスメント、複数の事業所での短期間の就労体験、振り返り面談
就労移行支援
(本番の訓練)
一般就労に向けて「訓練する・準備する」 原則2年間 職業訓練、就職活動支援、定着支援

主な支援内容と利用の流れ

就労選択支援の標準的な利用期間はおおむね1ヶ月程度とされており、その中で以下の支援が提供されます。

  1. 相談・申請:まず、市区町村の障害福祉窓口で、就労支援サービスの利用を希望していることを相談し、就労選択支援の利用を申請します。
  2. アセスメントの実施:就労選択支援事業所の専門スタッフが、面談や簡単な作業体験を通じて、あなたの職業適性、作業能力、希望する働き方、必要な配慮などを多角的に評価(アセスメント)します。
  3. 個別支援計画の作成:アセスメント結果に基づき、どのような事業所を体験してみるかなどの具体的な計画を立てます。
  4. 事業所の見学・体験:計画に沿って、興味のある就労移行支援事業所や就労継続支援A型・B型事業所などを複数見学し、1日から数日程度の短期間の就労体験を行います。例えば、「A事業所(事務系)でデータ入力を2日間体験し、B事業所(軽作業系)でピッキング作業を2日間体験する」といった形で、異なる働き方を比較検討できます。
  5. 振り返り・進路の検討:体験後、支援員との面談を通じて「どちらの作業が自分に合っていたか」「どんな環境なら働きやすそうか」などを振り返ります。このプロセスを通じて、自分に最適な進路(就労移行支援、A型、B型、あるいは直接の一般就労など)を明確にしていきます。
  6. 就労系サービスへの移行:進路が決定したら、選択したサービスの利用に向けた手続きに進みます。就労選択支援事業所は、あなたがスムーズに次のステップへ移行できるよう、関係機関と連携してサポートします。

このプロセスを経ることで、いきなり2年間の就労移行支援を始める前に、自分に合った支援の方向性を確かめることができ、就労開始後のミスマッチのリスクを大幅に低減させることが期待されています。

誰が対象になるのか?

2025年10月1日以降、新たに就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型といった「就労系サービス」の利用を希望する方が、原則としてこの就労選択支援の利用対象となります。

ただし、制度は段階的に導入されます。厚生労働省の計画によると、まずは以下のスケジュールで適用が開始される予定です。

  • 2025年10月~:新たに就労継続支援B型を利用しようとする人が、原則必須の対象となります。
  • 将来的(2029年4月以降の計画案あり):対象が就労継続支援A型就労移行支援の新規利用希望者にも拡大される予定です。

また、既に何らかの就労系サービスを利用している人でも、サービスの更新時などに希望すれば、就労選択支援を利用して自分のキャリアパスを見直すことが可能になります。

この新制度は、障害のある方一人ひとりが、より主体的に、そして納得感を持って自分の「働く道」を選ぶための羅針盤となるものです。これから就労支援の利用を検討する方は、まずこの「就労選択支援」を通じて、自分に最適なサポートは何かを見極めることから始める、という流れを覚えておくと良いでしょう。

【第4部】要点
  • 就労選択支援は、2025年10月から始まる新制度で、就労支援サービス利用前のミスマッチを防ぐことを目的としている。
  • 就労移行支援などの本格的な訓練の「前段階」で行われる、約1ヶ月間の短期集中アセスメントサービスである。
  • 複数の事業所での短期間の就労体験を通じて、自分に最も合った働き方や支援サービスを見極めることができる。
  • 2025年10月以降、新たに就労系サービスを利用する人が原則対象となり、まずは就労継続支援B型の希望者から適用が始まる。

まとめ:自分を理解し、最適なサポートを得て、あなたらしいキャリアを築こう

この記事では、ADHDをはじめとする精神・発達障害の特性に悩む方々が、自分らしい働き方を見つけるための道筋を、科学的知見と公的支援制度の両面から解説してきました。

最後に、本記事の要点を改めて振り返ります。

  • ADHDの科学的理解が第一歩:仕事での困難は、あなたの「努力不足」や「性格」の問題ではありません。遺伝的要因や脳の機能的特性に起因する生物学的な背景を持つものです。この科学的な自己理解は、不必要な自己否定からあなたを解放し、具体的な対策を講じるための土台となります。
  • 就労移行支援は強力なパートナー:国が認めた公的サービスである就労移行支援は、単なる職業訓練の場ではありません。生活リズムの安定から自己理解、スキルアップ、就職活動、そして就職後の定着までをトータルで支えてくれる、あなたのキャリアにおける強力なパートナーです。
  • データが示す確かな可能性:就労移行支援からの就職率・定着率は高く、適切なサポートを受ければ、安定した就労は十分に可能です。重要なのは、自分に合った事業所を選び、専門家と二人三脚で、焦らず一歩ずつ進んでいくことです。
  • 新制度でミスマッチを防ぐ:2025年10月から始まる「就労選択支援」は、本格的な訓練の前に自分に合った道を見極めるための貴重な機会を提供してくれます。

もし今、あなたが「どうせ自分には無理だ」と一人で悩みを抱え込んでいるのなら、ぜひその考えを一度脇に置いてみてください。あなたには、あなたの特性を理解し、共に歩んでくれる支援者がいます。そして、あなたの能力を必要としている企業が必ず存在します。

大切なのは、最初の一歩を踏み出す勇気です。その一歩は、決して大きなものである必要はありません。

「この記事を読んで、少しだけ気持ちが楽になった」
「自分の悩みの原因が、少しだけ分かった気がする」

それだけでも、未来に向けた大きな前進です。

もし、もう少しだけ前に進む勇気が出たなら、次の具体的なアクションを試してみてはいかがでしょうか。

  • お住まいの市区町村の「障害福祉課」などの窓口に電話してみる。「就労移行支援や、新しく始まる就労選択支援について知りたいのですが」と伝えるだけで大丈夫です。
  • インターネットで「〇〇市 就労移行支援」と検索し、気になる事業所のウェブサイトを眺めてみる。そして、勇気が出たら、見学の予約をしてみましょう。

自分を理解し、最適なサポートを得ること。それが、あなたらしいキャリアを築き、充実した職業人生を送るための最も確実な道です。あなたの未来が、今日この瞬間から、より明るいものになることを心から願っています。

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