「精神障害 2級」というキーワードで検索される方の多くは、自分自身やご家族がこの等級に該当するのか気になっているのではないでしょうか。あるいは、すでに診断を受けていて、どのような支援が受けられるのか知りたい方も多いはずです。
この記事では、精神障害2級の認定基準を「障害年金」と「精神障害者保健福祉手帳」の両面からわかりやすく解説します。さらに、受けられる経済的支援や日常生活で活用できるサービス、申請の具体的な手順まで網羅しています。最後まで読めば、精神障害2級に関する疑問がすべて解消されるはずです。
まず大前提として押さえておきたいのが、「精神障害の2級」には2つの制度が存在するということです。
この2つは認定基準も審査機関も異なりますが、いずれも「日常生活に著しい制限がある状態」を2級と位置づけています。以下では、それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。
障害年金で精神障害二級に認定されるのは、「日常生活が著しい制限を受けるか、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」の障害状態にある場合です。厚生労働省の「障害認定基準」に基づいて審査が行われます。
精神障害二級に該当するかどうかは、以下のような日常生活能力を総合的に評価して判断されます。
審査では、主治医が作成する「診断書」の記載内容が最も重視されます。診断書には「日常生活能力の判定」(7項目を4段階で評価)と「日常生活能力の程度」(5段階で評価)の欄があります。
厚生労働省が公表している「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、以下のような目安が示されています。
| 日常生活能力の程度 | 日常生活能力の判定平均 | 等級の目安 |
|---|---|---|
| (3):精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要 | 2.5〜3.0程度 | 2級 |
| (4):精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも多くの援助が必要 | 2.0〜3.0程度 | 2級 |
| (3):同上 | 3.5程度 | 2級〜3級 |
ただし、この目安はあくまで参考値です。実際の審査では、病歴・就労状況・生活環境・治療経過など総合的な事情が考慮されます。
障害年金の精神障害2級で対象となる疾患は多岐にわたります。
なお、パーソナリティ障害や神経症圏の疾患は原則として障害年金の対象外ですが、精神病の症状が認められる場合は例外的に対象となることがあります。
精神障害者保健福祉手帳(以下、手帳)の2級は、「精神障害の状態が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」と定められています。
手帳の2級と障害年金の2級は、文言こそ似ていますが、以下の点で異なります。
| 比較項目 | 障害年金2級 | 手帳2級 |
|---|---|---|
| 審査機関 | 日本年金機構(障害年金センター) | 各都道府県の精神保健福祉センター |
| 根拠法 | 国民年金法・厚生年金保険法 | 精神保健福祉法 |
| 有効期間 | 1〜5年ごとに更新審査 | 2年ごとに更新 |
| 診断書の様式 | 障害年金用診断書 | 手帳用診断書(または年金証書で代用可) |
| 主な給付・サービス | 年金給付(金銭) | 税金減免・各種割引・福祉サービス |
重要なポイントとして、障害年金2級を受給している方は、年金証書を提出することで手帳2級が自動的に交付される仕組みがあります。別途診断書を取得する必要がないため、費用も手間も省けます。
手帳2級に該当する方の生活の様子を、もう少し具体的にイメージしてみましょう。
手帳の等級は1級(最も重い)から3級(比較的軽い)まであり、2級は中間に位置します。3級では日常生活にある程度の制限がある状態、1級では常時援護が必要な状態とされています。
手帳2級を取得すると、以下のような支援を受けることができます。
【税金の減免】
【公共料金等の割引】
【福祉サービス】
特に見落とされがちなのが「障害者雇用枠」での就職です。手帳を持っていると、一般枠だけでなく障害者雇用枠にも応募できるようになります。障害者雇用枠は合理的配慮を受けやすく、職場定着率も高い傾向があります。
上記の全国共通の支援に加え、お住まいの自治体が独自の支援策を設けていることがあります。
自治体ごとに内容が大きく異なるため、必ずお住まいの市区町村の障害福祉窓口に確認してください。
ここからは、障害年金と手帳それぞれの申請手続きを具体的に解説します。
ポイント1:診断書の内容を事前に確認する
主治医は限られた診察時間で患者の日常生活の全体像を把握しきれないことがあります。診断書を依頼する際に、日頃の困りごとをメモにまとめて渡すことをおすすめします。
ポイント2:病歴・就労状況等申立書は丁寧に記載する
「日常生活が大変です」のような抽象的な表現ではなく、「入浴は週に1〜2回しかできず、家族に促されてようやく入る状態」のように具体的なエピソードを記載してください。
ポイント3:社労士への相談も検討する
障害年金の申請は書類の記載方法によって結果が左右されることがあります。特に、不支給になった経験がある方や、初診日の証明が困難な方は、障害年金専門の社会保険労務士(社労士)に相談することで認定率が高まる場合があります。初回相談無料の事務所も多いので、活用を検討してみてください。
手帳の申請は障害年金と比べて手続きが簡素ですが、診断書の作成費用は自己負担(3,000〜10,000円程度)となります。年金証書で申請できる場合は、この費用を節約できます。
精神障害2級と診断されると、「もう働けないのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。しかし、結論から言えば精神障害2級でも働くことは可能です。
厚生労働省の「障害者雇用実態調査(2023年)」によると、精神障害者の雇用者数は約13万人で、5年前と比較して約1.6倍に増加しています。企業の障害者雇用率は2024年4月から2.5%に引き上げられ、精神障害者の雇用ニーズは年々高まっています。
精神障害2級の障害年金を受給しながら働くことは制度上問題ありません。ただし、次回の更新審査で「就労できているなら等級が下がるのでは」と心配される方も多いです。
実際には、就労していることだけで等級が下がるわけではありません。審査では、就労の態様(障害者雇用か一般雇用か、勤務時間、職場での配慮の有無など)を含めて総合的に判断されます。障害者雇用枠で週20時間程度の勤務であれば、2級が維持されるケースも多くあります。
ただし、一般雇用でフルタイム勤務をしている場合は、等級が下がる可能性もあります。更新時には、主治医に就労状況を正確に伝え、職場での配慮や困難さが診断書に反映されるようにしましょう。
障害年金には「有期認定」と「永久認定」があります。精神障害の場合、ほとんどが有期認定で、1〜5年ごとに更新審査が行われます。
更新時期が近づくと、日本年金機構から「障害状態確認届」(更新用の診断書)が届きます。届出期限は誕生月の末日です。提出が遅れると年金が一時停止されることがあるため、注意が必要です。
更新審査の結果、以下のいずれかになります。
等級が下がった場合や支給停止された場合は、「審査請求」という不服申し立ての制度があります。処分を知った日の翌日から3か月以内に申し立てる必要があります。
精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間です。更新手続きは、有効期限の3か月前から行えます。更新を忘れると手帳が失効し、各種サービスを受けられなくなりますので、カレンダーに記録しておくことをおすすめします。
障害年金を受給中に症状が悪化した場合は、「額改定請求」を行うことで上位等級への変更を申請できます。前回の審査から1年が経過すれば請求可能です(ただし、明らかに症状が悪化した場合は1年を待たずに請求できる場合もあります)。
最後に、精神障害2級の当事者やご家族の方に向けた、実生活で役立つアドバイスをお伝えします。
障害年金だけでは生活が厳しい場合、以下の制度を併用できます。
精神障害のある方を支えるご家族も、大きなストレスを抱えがちです。家族会への参加や、レスパイト(休息)サービスの活用を検討してください。全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)では、家族向けの情報提供や相談を行っています。
症状が重くなった場合に備えて、成年後見制度(法定後見・任意後見)について知っておくことも重要です。金銭管理や契約行為に不安がある場合は、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」を利用する方法もあります。
この記事で解説した内容を改めて整理します。
精神障害二級に該当する状態は決して軽くありませんが、適切な支援制度を活用すれば生活の安定を図ることができます。まずは主治医やお住まいの自治体の窓口に相談し、自分に合った支援を見つけてください。